美しいサッカーを求めて -FCバルセロナ-

バルセロナの過去・現在・未来について

バルセロナのサッカー  ー新体制 グラナダ戦を終えて❶-

 

バルサの哲学とセティエン監督の共鳴

スーペルコパでアトレティコに逆転負けをしたバルセロナはバルベルデに変わってキケセティエンを次の監督とした。1/20彼の初陣となったグラナダ戦 相当なインパクトを残す形となった。

 

1.最終ラインの可変システム

セティエン監督は3バックを使ってくる監督であることはよく知られていた。初陣で4-3-3をつかうのか5-3-2をつかうのか注目された。現地予想はラングレに変えてウンティティのいつもの4人で4-3-3。メンバーを見ても4-3-3が妥当な選択だったろうが、試合を

見ていく中でいつもより右のラテラルの位置が明らかに低い位置をとっていた。

 

そうジョルディ・アルバをある程度高い位置に押し出し、後ろは3枚のバックをすることである程度左に重心を置くスタイルをとっていた。守備である程度ブロックを作るときは4-1-4-1のように可変できる。(ほとんどブロックで守ることなかったけどね笑)

 

これによって、前線はウイングタイプのファティを右に置き、左は、ある程度中のポジションを取るグリーズマンを置いてアルバのランニングを生かす選択をセティアンはしてきた。

 

左に重心が傾く分右の攻撃の選択はファティ1人に任された、若干17歳の若きバルサの才能がどこまで本領発揮できるかが見ものでもあったが、彼右サイドを1人で任せるのは少し早すぎた感も否めなく、後半途中での交代を余儀なくされた。

 

2.セルヒオ・ブスケツの使い方

1で述べたようにバックは3枚いることで後ろでのビルドアップもいい距離感ですることができる。ここにブスケツが参加することで簡単に数的有利を作りボールを回しながらブスケツの長所でもある食いついた相手を足元だけで簡単に剥がし、一気に前につけて数的有利を作れる。ボールが集まる位置にポジショニングし、空いてるスペース、チャンスにつながる選択肢を確実に捉えていた。あのワンタッチのパスが相手を動かし、狭くともスペースを生み出しているのは一目瞭然だし、その狭いスペースを使える選手たちがいることこそがブスケツを最大限活かせている。

 

メッシの裏抜けに対して出したスルーパスにも見られるように、周りを見る力と、そこに確実にパスを出せる正確さも併せ持つ、さらに大事なとこで確実にボールを奪う力も備わっている。

 

さらに真ん中の守備のタスクをある程度軽減してあげることでブスケツを活かし、中盤を制圧し、ゲームを作れるバルサの心臓ブスケツが復活した。

 

3.メッシのフォルスヌエベ

かつてバルセロナでプレーし、バルセロナ をdream teamの再来と謳わせた監督こそペップグアルディオラである。彼が残した功績は様々あるけども、そのなかでも衝撃を残したのはフォルスヌエベという概念だろう。これは、メッシありきの戦術である。彼は前を向けば様々な選択肢を持っている。ドリブルで相手の壁を打ち抜くことも、シュートで牙城を崩すことも、そしてアシストでチームメイトをスターにすることも。とにかくゴール前でメッシに前を向かせてプレーさせることを目的に考案されたこのフォルスヌエベという概念(あえてポジションとは書かない)である。

 

(フォルスヌエベの詳細は省く)メッシがある程度下がって受けてプレーすることで中盤での数的有利を作り出し、相手をはがす。そうすることである程度サイドが開いてくる、この開いたところをアルバ、アンスファティがうまくつかうことでサイドで幅を取りなかで開いたスペースをメッシが使うというプレーがある程度しやすくなるし、グリーズマンがあることでそのパスを出す選択肢を増やすことができる。

 

左のサイドのメッシ→アルバ→メッシの王道コースはある程度機能はしていた。ファティの方もうまくはやっていたし、2本くらい惜しいシュートもあった。

 

しかし、問題はそこで受けたときにシュートの選択をすればいいのか、メッシを使うべきなのかというところはもう少し学ぶ必要があるし、後半の存在感の薄さは気になった。ただ、17歳であそこまでのプレーができているのを考えると相当将来性があるから楽しみにしたい。

 

現状ではスペースをうまく使うランニングができて、カットインの選択肢もあるペレスがファーストチョイスになってくるだろう。

 

4.圧倒的支配率

セティエン体制の初陣はなんとボール支配率驚異の81%!!

直近のバルセロナの試合を見てもわかるようにこの変化が今回のバルセロナに起きた1番の変化と言っても過言ではない。パス本数も1000越え、パス成功率は92%。セティエン監督相当インパクト与えたなという印象です。これは選手の立ち位置、ポジションに深く関係していました。特に距離感が素晴らしかった。まずは3バック、そしてメッシのフォルスヌエベ。この二つの効果がもたらすことは中盤でのボール支配と選手の距離感の安定性だった。

 

4バックだとサイドバックが高い位置を取るバルサではどうしても距離感が相当遠くなる。それを3バックにすることでブスケツが降りてくることなく後ろでのビルドアップはセンターバックで完結できるし、受けて欲しいところでブスケツにボールを預けることができる、メッシは低い位置に降りてくることで数的有利から中盤を制圧できる。右のスペースはある程度開けておくことでメッシが自由に動き回れる。

お互いの距離感を保つことで、バルサらしさのあるパス回しができ、今回のような支配率を叩き出した。

 

またこのいい距離感はいい守備につながる、ボールロスとしてもプレスに関わる選手が距離感が遠い時よりも確実に多くなる。今までのバルベルデ体制では前から嵌め込もうとしても距離感の悪さなんかで簡単に剥がされてカウンターを喰らうシーンはよく見てきた。その守備の意識と しやすさは今回の戦術がうまくいっていたことも物語っていた。