美しいサッカーを求めて -FCバルセロナ-

バルセロナの過去・現在・未来について

美しいサッカーを求めて 〜新シーズンの開幕!まだ未熟さを隠せないバルセロナ〜

さて、メッシ騒動も落ち着きを迎え、無事バルセロナに残った!と言っていいのか分からないまま新シーズン(20−21)を迎える事となったバルセロナ

 

現段階(10/8時点)はまずまずの成績と言っていいでしょう。第1節の久保選手所属のビジャレアル相手に4−0、続く第2節ではセルタ相手に0−3とかなり好調な滑り出し。セビージャに1−1と引き分けるものの第3節までで、8得点1失点と流石の攻撃力で勝ち点を積み上げています。特にアンスファティの台頭は今季放出したルイス・スアレスの得点力を考えると、バルセロナにとってはかなり大きな収穫になっているはずだし、将来のポストメッシとしての期待感も高まっている事でしょう!

 

ただ結果だけでは図ることのできない、バルセロナの改善点や、改善されているところが伺えたのでそれについて今回は触れていきたいと思います。

 

改善された部分

1 ネガティブトランジション

現代サッカーにおいて1番と言っても過言ではないほどに重要視されている項目です。

 

そもそもトランジションとはなにかと言うと、ボール奪取あるいはボールロスト直後に生まれる短時間の総称です。その中でもネガティブトランジションはボールロスト直後の時間を指します。このネガティブトランジションを以降ネガトラと略します。

 

このネガトラをどう意識しサッカーをするかによって全く違う展開になります。相手からボールを取り返すのが1番簡単なのがこのネガトラなのです。相手が体勢を整える前に、さらに相手のボール保持者がパスコースを見つける前に、圧をかけられれば、取れる確率が上がるからです。サッカーというのは、ボールを持つか持たれるか。バルセロナのサッカー哲学は、自分たちがボールを持ち続けることで相手にゴールを許さないというものなので余計にこのネガトラの意識が重要になります。

 

即時奪回には、選手間の距離感がとても重要になります。ボールが奪取された際に、1人でボールホルダーにプレスをかけるよりは、数人でかけた方がその確率は上がります。バルセロナは中盤でサッカーを形作り、狭いスペースで細かいパスをつなぐのが得意なチームですから選手間の距離がちょうどいい傾向にあります。チーム全体がコンパクトであり、クライフが説いているトータルフットボールを目指すことこそがバルセロナの真骨頂でもある、ボールをもつということに繋がるのです。

 

この次に話すことにもつながりますが、一人一人がプレスをかける勇気と意識管理をする必要があるので、守備をしない選手がいるとこのネガトラを解決できなくなります。これを考えると、スアレス放出の前向きなポイントになっているのは言うまでもないですね。

 

2 前からのプレス

バルセロナの最重要課題と言っても良いでしょう。現代サッカーにおいて攻撃陣が守備をしないのはあり得ないと言われている中で、昨シーズンまでのバルセロナは、前からの守備は基本的にはしませんでした。リーガは取れてもチャンピオンズリーグは敗退する。その原因はまさしく前からのプレスの少なさでしょう。

おそらくこれを語るにはMSNの時代まで遡らないといけないでしょう。ルイスエンリケがもたらした功績は実は未来のバルセロナの癌を生成するものでした。

MSNは当時世界最高の3トップと言われていました。得点力、技術全てにおいて最高だったので、前の3人にボールを供給してさえいれば点を取ってくれる訳ですから中盤の攻撃参加が不要になります。その代わり、守備は中盤以降できちんと行うと。

それでもよかったのですが、イレギュラーが起きました。ネイマールの退団です。それまでの力の1/3がバルセロナから失われたわけですからその打撃はかなり大きかったのでしょう。それでもバルセロナは、方針を変えませんでしたが、とうとうネイマールの代わりを見つけることはできませんでした。その結果、守備を免除されたメッシ・スアレスを残し、残りの選手で44のブロックを敷き守備をする結果になりました。メッシスアレスも年齢を重ねることで、攻撃力は全盛期ほどではなくなっていきました。

 

前からの守備がないということは、相手からすれば、中盤から攻撃を仕掛けられるわけですから、手順が一ついらなくなる分簡単になります。リーガの中ではこれでも通用してはいましたが、UEFAコンペティションでは、ハイレベルなチームがたくさんいるので簡単に崩されます。ローマ、リヴァプール、そしてバイエルン。守備の意識が薄いことや、守備の厚みがない事による配線ばかり目立っていました。

 

そこでクーマン監督が行ったのが、ルイス・スアレスの放出です。送り出し方や、選手へのリスおエクトに関してはおいて置くとして、決断としては間違いではなかったのかなと、感じています。スアレスがいなくなる事で、メッシを真ん中に配置し、偽9をやらせることができる他、守備をする選手が増えることもプラスになっています。メッシもプレスをかけることも多くなっていることを見ると監督と選手間の関係も悪くはないのかなと思えます。

 

前から圧をかけることで、相手のミスを誘発したり、即行のカウンターが出来たり、ボール奪取ができます。