バルセロナのサッカー -新体制 グラナダ戦を終えて❷-
つづきです
選手起用から伺える監督の意図
フォーメーションは初陣ということもあり中盤でビダル、ラキティッチを起用し安定した守備から入る選択肢をとったセティエンバルセロナ。多くのパスは繋がり、守備での距離感も素晴らしかった。しかし、なかなかゴールが奪えない中後半途中から投入したのは、ラキティッチ、ファティを下げ、リキプッチ、カルラスペレス!なんと交代枠の2枚を若手のカンテラーノというバルベルデには見られなかった思い切った試みをしてきた。
ピッチには、メッシ、バスケツ、ピケ、アルバ、リキ、ペレス、ロベルトと、11人中7人がカンテラ出身(現所属含む)の選手という構成になった。ファティも含めればこの日だけで8人のカンテラを使ったことになる。
バルベルデまでのサッカーは前線での守備はほぼなし、その分中盤やラテラルの守備のタスクがかなりかかる。バルセロナの哲学を叩き込まれたカンテラは高い強度で引いて守る守備というよりは今回のセティエンバルサに見えた距離感を保ちながらパスコースを消し、数人でボールホルダーにプレスをかけていくスタイルを持っている。グラナダ戦での得点も、リキの前からのプラスによるものだったし、終始それをやれていた。
新体制になりセティエン監督のやりたいサッカーがパスを細かくつなぎボールを支配し、前からのプレスで相手に攻撃させない元々クライフが目指したバルセロナの形をちらちらとかなり明確に見せてくれた。
バルベルデに持っていた不信感は明らかにこのバルサらしさの終息だっただけに、この変化はクラブにとってもサポーターにとってもかなり大きなものになる。ラキティッチに代わり、リキが入るタイミングでの歓声がそれを物語っていた。
セルジロベルトの使い方
セルジロベルトをラテラルで使うメリットとデメリット
・デメリット
これは守備の強度とスピードです。
これはなんといってもスピードで勝負するタイプのウイングにはめっぽう弱い。特に高い位置でプレーするバルセロナのスタイルではかなりウィークポイントになってしまう。
・メリット
これは、ポジショニングと気が効くプレーと前線での抜け出しです。
メリットの方が多いですね!
まずポジショニングですが、彼がバックでやれている一つの要因となります。守備の強度と、スピードがない代わりに、カウンター以外は相手との距離感を保ち前に入られないよう工夫しています。もちろん失敗してあっさり抜かれることも多々ありますが、、
ただ、これは攻撃時には相当役に立ちます。グラナダ戦でも右のハーフスペースは開くことが多いので、ボールを奪ったあとある程度前まで出て行き、パスを出したり、パスを受けたりといった気が効くプレーにも繋がります。右サイドでのメッシとの関係性も相当いいですしね。気が効くプレーでいうと、ベルナベウでの3-2で勝利した試合は特に彼の良さが出ていました。
マルセロをかわし、中盤までボールを運ぶ。そこからメッシのゴールまでは実に鮮やかでした。彼の強みはそれだけではありません。
特に右サイドの高い位置での裏抜けやランニング、クロスの質もかれの持ち味です。
それは、実に巧みなものです。
ボールを相手の背後に出すタイミングで1番相手が対応しづらいのはボールが動いている間です。特に横に動いている時の縦への動きは相手のディフェンダーからするとかなり対応しづらい、ボールを目で追わないといけないからです。つまり、裏抜けするタイミングはボールが横に流れて、パスを受ける選手にボールが届くまでの時間になります。彼はそれをそつなくこなせる。これはかなりの強みになる。特にブロックで守るチームにはかなり刺さる。
今回のセティエンバルサではジョルディ・アルバを押し出す左サイドの攻撃に重点を置いていたのもありますが、右の攻撃がそこまで活性化してなかったのはそのせいでしょう。 彼をどう使うのかはかなり難しいですが、彼の特性を活かせない3センターの一角で使うのは難しいでしょう。
アルトゥーロビダルの存在価値
彼の存在はバルセロナのサッカーを支えています。特に彼はファイターだと、潰しやだと言われることが多いし、もちろんそうなんですが、バルセロナにおいてそのタスクよりも素晴らしいことは、前でのポジショニングです。特にグラナダ戦のような偽9話使うときは前のスペースが開きます。そこに人がいるかいないかでは中でのボールホルダーを作るという意味で相当大きなものになります。試合の途中にスアレス不足を感じたのはこの部分なのかと思います。
グラナダ戦でのメッシのゴールがそれを象徴しています。メッシが下がってボールを受けワンタッチでグリーズマン、ワンタッチでビダルからのヒールで走り込んだメッシがシュートといった形でした。これは相手がメッシをうまく対応できない形です。前に2人いることでセンターバックはどうしても2人を見ないといけません。引きつけたところに後ろから入ってきたメッシ。素晴らしい崩しでした。
80分にアルトゥールに交代してからはバルセロナの攻撃時に、中に人がいないことである程度後ろやブロックの周りでボールを回さないといけないシーンが多くなりました。
守備と、ボールホルダーと、攻撃のタスクをそつなくこなせるビダルの存在はセティエン監督の元でもかなり役に立つと思いますね。
前のスペースをうまく使う動きの少なさや、カウンターの時の後半の推進力のなさなんかはバルベルデの時とあまり変わっていないように感じた部分ですね。どこか勝ってることでの余裕をちらつかせてしまったなという印象がありました。
もちろん勝つことは重要なことではありますが、最後まで得点を奪いに行こうとする姿勢はプレーで見せなければ、CLでまた逆転劇を起こされてしまう可能性があります。
とまあこんな感じでまとめてみましたが、いろいろな意見はあると思います。とにかく良かったことはセティエンがバルセロナのことをよく理解していること、怪我人がある程度帰ってこれたこと、試合なかったことですかね。よくやってくれました!
次はコパデルレイ!応援しましょう📣📣